集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

長期の景気拡大と谷間での苦渋

 コロナ感染拡大の中で下層の庶民を苦しめる景気のことが気になった。景気はすでに後退期に入っていたことが明らかになり、きょう(8月18日)の報道では4~6月期の国内総生産は前期比最悪の落ち込みであったという。その裏では倒産や廃業に伴う失業者、失職者が増え生活が行き詰まる現実がある。だからこそ「景気」から目が離せない。

 7月末に話題になった「景気拡大期」は、2012年12月から2018年10月まで5年11カ月(71カ月間)続いたと政府が認定した。専門家の評価も踏まえての結論のようであり「それは違う」など言えるものでもない。ただ、昨年初めに政府は「いまの景気拡大期は戦後最長になる」とアベノミクスの効果を持ちあげていた。だがその時期すでに景気は後退局面に入っていたことが明らかになった。この点は大事な点である。

 もう一つは、専門家も認めるように約6年に及ぶ「景気拡大」の期間に多くの人々は「景気の良さ」を実感できなかったことである。むしろコンマ以下の成長と消費増税、給与所得減などで息苦しさを感じてきた。その経済拡大の低さは、先進国の中でも極めて目立っていた。アベノミクスを持ち上げようとしても無理というもの。 

 戦後の景気拡大期を思いつくままに並べてみた。

 ◇特需景気  朝鮮戦争の特需で景気を押し上げる。1951年が山であった。

 ◇神武景気  1954年11月~57年6月までの31カ月間  

 ◇岩戸景気  1958年7月~61年12月までの42カ月間   

 ◇いざなぎ景気 1965年11月~70年7月までの57カ月間  

 ◇バブル景気 1986年12月~91年2月までの51カ月間  

 ◇いざなみ景気 2002年1月~08年2月までの73カ月間 

 それぞれの時期の「あれこれ」を想い出すが、恵まれた感じよりも景気と景気の谷間での苦渋だけが残っているような気がする。実感のなかった景気拡大「5年11カ月」も似たようなもので、谷間でのコロナ禍だけが苦い思い出になるかもしれない。

 *期間の不確かさはお許しいただきたい。