集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

都合の良いことば「注視」

 老人はしばらく前からテレビの音が聞き取れないなど耳が遠くなり補聴器を購入すべきか悩んでいます。そんなとき、近くに住む市会議員が「加齢性難聴」を主題に補聴器購入助成制度の実施について質問することを知りました。当日、老人はパートのために傍聴できませんでしたが、のちに議員の議会報告を聞くことができました。

 議員は、高齢化社会のために「加齢性難聴者」が増えていること、放置するとうつや認知症に進展することが多いこと、良い補聴器は高額であること、他の自治体で「補聴器購入助成制度」が増えていることなどの事例を挙げながら「補聴器購入助成制度」の実現を求めた。

 市の答弁はいろいろ挙げ乍ら「国や他自治体の取り組みを注視してまいります」というものだったそうである。最初から「助成制度」の導入を検討するとの答弁ができないだろうけど、せめて「前向きに検討したい」ぐらいの答弁はできなかったのかと至極残念に感じました。

 答弁で使われた「注視」はどういう意味だろうか?。国語辞典などによると「じっと見つめること。注目」とある。行政言葉として考えると「国や他自治体の取り組みを注意深く見つめていく」といった内容だと受け止めました。つまりは、当市としては「他市の取り組みを見てゆく」のみであると丁寧な言葉遣いで議員の提案をつき返したということでしょう。都合の良い「注視」の使い方だと行政の「冷やかさ」を感じざるを得ませんでした。 

 高齢化社会が足早である。加齢性難聴は次第に増えてゆくのも事実。なんとしても「補聴器購入助成制度」の実現を求めて要望をまとめてゆきたいものである。