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集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

隣家の火事で逃げ出す

 就職から1ヵ月後の明け方のこと路地裏の隣家で火事が発生した。住み込みの従業員は工場の2階に寝ていたが、なんかいつもと違う”パチパチ”というか”パリパリ”といった音に目を覚まし火事に気が付いた。びっくりしたみながパジャマのまま逃げ出した。

 しばらくして火事は消し止められた。工場は火の勢いで焦げてしまったが焼けることはなかった。但し消火用水や煙が屋内に入り様々な被害をこうむった。当方の衣類も強烈な煙で変色してしまい着られる状態ではなかった。

 出火の原因は、子供のために起こした練炭の後始末が悪かったためらしい。9坪が全焼し損害額が100万円と報じられた。聞くところによるとちょうど1年前にもボヤ騒ぎがあったらしい。

 朝になると、近所の人たちや取引先の皆さんが見舞いに訪れた。しばらくして当方も雇い主からいくらかの見舞金(?)を頂いた。ほとんど洗濯代として消えてしまった。ちなみにダスターコート(防水加工)の洗濯代は350円、セーターは80円だった。今の価格とそれほど変わらないような気がするがどうだろうか。

 それが契機でもあったろうか、工場は拡張改装に着手したのである。