集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

「金の卵」「あなたは誰ですか」に釘付け

 日曜日の朝、いつもよりゆっくりした朝食を取りながら「朝日新聞」を読み始めた。1面の見出し『「早く見つけて」無言の叫び』に釘付けでした。2面15段はすべてその続き記事である。しかも見出しには「金の卵」とか孤独死の言葉がある。

 よく見ると、これは特別企画だろうか「プレミアムA]の第3弾で、今回は「あなたは誰ですか ルポ孤独死を掲載したとある。

 想えば「金の卵」は同世代の人生。もう一つ10年ほど前のことだが年上の知人がまさに「孤独死」で発見された。その直後に地元では「孤独死を考える~シンポ」が開かれた。その際に当方は、個人情報を理由に「孤独死に関する情報公開や統計をまとめない警察は、その種の問題解明の疎外となっているのではないか」と食い下がったのだった。パネリストからは丁寧な言葉で「理解できるが、現実の制度では無理ですよ」といさめられた。

 大阪のアパートで男性が発見されたのは、死後1ヵ月ほど経過と見られる昨年11月のこと。当初まさに「あなたは誰ですか」の状態。遺品から調査が進み、奄美出身で、1936年生まれ、5人兄弟の末っ子。アパートには10年ほど前から住んでいたらしい。次第に体調を崩し生活保護を受けていた模様。その後兄夫婦が健在と分かるが、男性が「かまわんでくれ」ということもあって、生活模様はわからなかったらしい。

 高齢者の「孤独死」について、調査機関の推定(2011年)を記事は伝えている。65歳以上の高齢者が自宅で死亡、死後2日以上経過後に発見された例が全国で27,000件ある。実に1日に70件の割合になる。高齢化時代はさらに進む。1人暮らしの高齢者率も高まっている。それらの数字から「孤独死」の件数も増加すると読み取れる。悲しい現実である。

 社会保障制度は、なぜかこのような現実とは真逆のように年金を減らし、医療費負担を増やす、消費税を引き上げ、生活保護抑制を強める。その一方で武器をバク買いするなど軍備増強には情熱的である。

 「金の卵」世代として悲しくもあり、怒りを覚える。 

 取材チームの奮闘を期待します。感謝。