集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

野蚕学会会報誌を読む

 日本野蚕学会の会報誌「野蚕~新素材シルクの研究開発」が届きました。

 今回の会報は、昨年秋に開かれた日本野蚕学会での研究発表を紹介する内容となっているようです。会費会員の当方は参加できなかったので、とりわけ楽しく読みました。

 1、巻頭言は、国際野蚕学会設立から30年が経過したことを話題にしています。1988年に開かれた国際昆虫学会で野蚕学会が設立。以来30年間日本と国際(世界の)野蚕学会の会長として野蚕=ワイルドシルクの研究開発を牽引している赤井弘氏の奮闘は高く評価される。ちなみに「30年」というのはわが国では「平成30年」とダブるところがあり”平成30年間のワイルドシルク”の時代として記憶することもできそうである。 

 2、研究発表での「プラチナ繭 アゲマ・ミトレイ」(檜山佳子、赤井弘)のレポートも興味深い。ヤママユガ科の仲間である「アゲマ・ミトレイ」の繭糸はプラチナのような輝きが特徴で、比較的容易に紡ぎ糸ができるらしい。その特徴を解明したのがこのレポートである。魅力いっぱいのワイルドシルクだが、生息地であるマダガスカルでは人口急増のために森林が急減し、アゲマ・ミトレイ自身の生息が危ぶまれているらしい。野蚕の魅力と環境保護の両立を考えさせられる報告である。

 3、キトサンシルクプロティン(SP)加工の長期着用試験(中山れいこ)の実用的レポートには驚きと感心の連続。報告者は、綿にシルクプロティン加工した夜着を4年余着用した試験結果をまとめている。シルクプロティン加工は肌に対しても製品としても大きな効果があった様子である。 

 ほかのレポートも興味深いが、ワイルドシルク=野蚕の魅力として特筆したい3テーマを掲げました。