集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

入社式での言葉「汗出して働く」こと

 この時季は新年度で入学式とか入社式とかが話題になることが多いのですが、コロナの感染拡大で「ワクチン接種予約」と「非常事態宣言」の方が圧倒的に話題の中心のようです。

 そんななかでパート仕事の我が会社の入社式模様を掲載した社内新聞が届きました。記事の内容は、新入社員の紹介とか研修の模様などどこでも見られる「社内報」に変わりない。当方が注目したのは入社式での社長あいさつの一部である。社長自身が新入社員のころ印象深く聞いた話しとして紹介した内容である。それは「知恵のある人は知恵を出して働く。知恵のない人は汗を出して働く。知恵も汗も出そうとしない人はやがて50代、60代になって涙を流す」というもの。

 わが社の社長について、生い立ちや顔を知っているわけではないが、こうした言葉を教訓として話せる方だということを社内報で知ることができました。おそらく苦労人タイプではないかと推測します。この言葉をパート老人として読みながら、知恵のない者が若いころ「汗を出して働いた」だろうか、定年前後の「涙」は何だったろうかなどと考えさせられることがいっぱいありました。

 意味深い言葉として記憶にとどめたいと思います。