集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

興味深いクモの行動学

 もう20年以上前のことであるが、仕事の関係で「ワイルドシルク(野蚕)」に関心を持つようになり、研究グループの方々ともお付き合いするようになった。もちろんワイルドシルク製品も愛用し靴下などはいまでも手放せない実用品である。

 ワイルドシルクは、よく知られる飼育されている「カイコ」に対する名称で”野生で生育する蚕”といった意味から名付けられたもの。地球上にその種類は数え切れないほど生息しているらしいが実態は未解明である。代表的なものはわが国特有の「テンサン」または「ヤママユ」といわれる緑色の野生蚕。ほかに中国の「サクサン」、インドの「タサールサン」とか「ムガサン」などである。

 これらのワイルドシルクはカイコと同じように生糸を吐き繭をつくる昆虫の仲間である。その繭から生糸を引き出して様々な製品をつくることができる。

 似たような「虫」にクモが挙げられる。クモの多くは糸を出して餌を摂るための巣をつくる(あのクモの巣)が脚が8本あるので昆虫とは区別されている。だが、その糸の丈夫さや修復の素早さにはさまざまな分野から関心が寄せられている。そのような不思議な「クモの行動学」を研究している学者がいるらしい。政党機関紙赤旗」(23日付)の「学問はおもしろい」で京都女子大学の中田兼介教授(動物行動学)が語っていました。 

 地球上にクモの種類はざっと48000種ほど確認されているらしい(推定では12万種類とも)。しかもクモの巣をつくるものや巣を作らないクモもいるそうである。クモは何をどれだけ餌として食べているかというと、驚くなかれ魚や蝙蝠なども食しているそうだ。その量は年間重量換算すると地球上の人口の総体重を上回る4~8億トンに上るらしい。

 ほかに種族繁栄のための交尾についても詳しく説明している。クモは交尾ではなく「交接」というらしい。

 昆虫の「カイコ」の仲間の糸と昆虫ではない「クモ」の糸の違いや共通性を理解するために、または糸を作り出す「虫」としての違いや共通性を理解するためにもじっくり考えてみたい気がしました。宇宙時代に通じる課題でもあるから余計ですね。