集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

年寄りが寄れば”薬自慢”のいま

 先日のこと80歳前後の男4人の井戸端会議があった。

 82歳の男がミニコミ紙を持ち込み「この人は俺の主治医で随分立派な人なんだ」と紹介する。そのうえで「先生の指示に従い血圧の薬と前立腺の薬を飲んでいるんだが時々忘れることがある」という。それを聞いた80歳の男は「俺もそうなんだ。食後に飲む薬を袋に入れて準備しているんだけど、忘れてしまうことがある」という。それを聞いていた一番若い75歳の男が「俺は、2種類の薬を飲んでいるけど、飲み合わせはよくないと思い量を減らしてほしいと頼んでる」と、薬談議に加わる。

 当方は膝が痛いのだが、現時点で薬を服用していない。もっぱら速足散歩と自分流のリハビリで悪化を抑えている。 

 そんな「薬談議」にに気がついた75歳の男が「とうとう薬自慢しあうようになってしまったか」とこぼすと、大先輩は「違うよ。主治医が立派な人だと紹介しただけなのに~」と、しきりに言い訳になる。

 年寄りが集まると「薬自慢」になるのが、まさに”いまの風景”なのかもしれない。