集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

資本主義の不公平さを考える

 ごく最近のこと政党機関紙赤旗」(5月5日)に「不公平な資本主義に対抗する」とのタイトルを発見して興味深く読みました。バングラデシュで「グラミン銀行」を創設し、のちにノーベル賞を受賞したムハマド・ユヌスのインタビュー記事のようである。

 彼は、地球上の紛争は「資本主義に起因している」と明確である。資本主義の「不平等、不公正が紛争の根底に」あるという。それは「とても人類のためのシステムとは言えない」と主張する。そこからさまざまな取り組みが始まったらしい。

 1つはグラミン銀行」(グラミンは「村の」意味)。ご存知、無担保、低金利、少額融資(マイクロクレジット)の銀行である。これで村の貧しい人たちの仕事を作り貧困からの脱出を実現した。 

 二つ目は、「人類の問題を解決することに尽力する無配当の会社」(ソーシャルビジネス)の立ち上げである。イメージがはっきりしないが「存続に必要な経費以外の利益は求めない。生産手段を人類の課題解決に使う」ということらしい。

 これらは博士の、人間には「利潤を願う”利己心”と社会に尽くしたい”無私の心”の両面がある」との考えにもとづく。そして「ビジネスの世界に”無私の心”は入る余地がな」いと考えられがちだが、限界はあるもののルールを作り事業を推進しているという。

 こうした経験から「現在の資本主義に”対抗する手段”」となっているそうだ。最後に彼は「貧困撲滅とは、貧困者が直面する障害を取り除き、自分たちの問題を自分たちで解決できるように貧困者の創造性を解き放つこと」にほかならないと説く。

 格差を広げている資本主義の不公平さを繕う形になるかもしれないが「マイクロクレジット」のような仕組みで希望を生み出すことは改革へのステップと思う。このような積み重ねの広がりが新時代を切り開くことになるかもしれないと感じた。