集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

2000万円貯蓄から広がる話題

 後期高齢者になると「あと何年生きられるか」が「関心の的」ともいえる。

 そんななかで「老後資金2000万円」の問題が浮上した。ことさら後期高齢者にとっては「俺の場合」が死活問題なのである。それはまず「現在の年金額」そして「その他の収入」(パート他)、家賃の「有無」、健康状態、子供らに頼れるかどうか、最後が「貯蓄額」だろう。違いますか。

 ということで、後期高齢者にとっては「個別具体例」での話が親切であると思う。それがなかなか提供されないのがややこしい感じである。

 高齢者の運転ミスによる事故や事件、引きこもりに関連する事件、いわゆる「ロスジェネ」世代の苦難、高齢者の生活保護世帯増、いわゆる「底辺層」の現状維持志向などマスコミの話題である。しかし、それらの「深層」と現在の「政治的話題」がかみ合っていないような気がしてならない。

 事件や事故は電波の情報放送が早い。事件や事故の「深層」は新聞などの丹念な取材の積み重ねが生かされる場だと思う。解説報道というのだろうか。これから高齢者世帯の生活保護割合が増えこそすれ減ることはないだろう。「ロスジェネ」世代が高齢者になったときの社会のあり方が見えているだろうか。今から「高齢者」の個別具体例を追い求める「記者根性」を求めたいものである。