集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

懐かしい大豆料理たち

 同級会では「郷土食」が話題になった。その筆頭が「豆腐田楽」である。

 思うに「豆腐田楽」は豆腐の上に味噌を塗って焼いたものだから、ほとんどが大豆からできている。それを考えると「大豆」(まめ)を材料とした料理の多いことに関心した次第である。

 まず「豆腐」があり、それを凍らせた「すみどうふ」(高野豆腐)、製造過程でできる「きらず」(おから)や湯葉も欠かせない。味噌は、豆を大きな釜でゆで上げてわらで編んだ大きな「つまご」を履いて踏みつぶし、それを頭大のボールに固めて(みそだま)囲炉裏の上でいぶし乾燥させる。しばらくしてから大きな大きな樽にボールを砕きながら塩と混ぜ合わせながら入れておくとだんだん発酵し「たまり醤油」が浮いてくるので、それは「醤油」代わりに使える。そのころ「味噌」は食べられるようになる。ほかに「納豆」もある。 

 大豆を硬いままで利用すると「黄な粉」が代表例だろう。もちろん豆を炒めて練り菓子に混ぜることもある。炒ったまま食べることもあった。「まめすっとぎ」は「大豆」でも種類が違うものだったと思うが、定かではない。

 「小豆」(あんづき)、「あんこ」に使うことが多かったようだ。郷里で「まんじゅう」といえば、「あんづき」を少しつぶして、大人のげんこつ大に丸めて小麦粉の薄皮で包んだものだった。よく祝いごとや法事など人が大勢集まる時季に使われていた。小豆餡汁に幅の広いうどん(ひもかわ)を入れた「あんずきばっとう」という料理があった。これは子供に人気であり同級会でも「あれはうまかった」と懐かしい思い出話になった。