集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

国民生活安定のために消費増税断念を!

 いま関心のテーマは、公文書の改ざん、隠ぺい、ねつ造だろうか。

 朝日新聞3日付け経済面に編集委員氏による「公文書改ざん財務省悪玉論に走る愚」の記事が掲載された。見出しに”そだね”と思いながら読み進んでゆくと終盤で消費税が話題になり、編集委員氏は「消費増税財務省のためでなく、国民生活安定のために欠かせないものだ。冷静な世論が求められる」と結んでいる。

 途中の段落を読みながら”そだね”との思いを重ねていたが、結局「文書改ざん」と「財務省」の問題はいつの間にか「消費増税が国民生活安定に欠かせない」との結論になっていた。これには驚きである。

 見出しから、「文書改ざん」問題で財務省だけを悪者にすることは愚かしいことである。問題の本質は民主主義の基本にかかわることでありアベ政治の姿勢が問われているのだといったように展開するかと思っていたのである。勝手に思い込む当方の愚かさに気づいた次第である。

 文書改ざん問題で、「財務省にお灸を据えたいという思うあまり、世論がそんなムードに乗ってしまえば、まさに国を誤る」と、演壇のうえから、財務省=悪玉論を批判する。

 どうも編集委員氏は、文書改ざん問題よりも「消費税を10%に引き上げることの先延ばし」を心配しているようである。当方は断念こそが筋だと思うのである。

 とんでもないことである。あの安倍ソーリでさえ「消費増税」がその後の経済にどのように影響するかを考えて実施時期を先送りしたではありませんか。ほんとうに2019年秋に消費税が10%に引き上げられたなら、俺の生活はどうなるか考えただけで気分は落ち込んでしまう。

 考えてみよう。高齢者は月を経るごとに身体の不具合を強める。医者に診てもらう回数が増える。パート仕事がきつくなり、そしていつまで働けるかが心配になる。ついにパート契約を断念する時期が来るだろう。そのとき消費税が10%になる。その負担は重いのだ。介護保険が増える。年金は削られる。外出回数を減らす。わずかの楽しみを控える。部屋にいる時間が増える。運動量が減ってくる。体力が衰える。いつの間にか「孤独死」の記事が出ることになるだろうか。

 いったい誰が「消費税増税」が国民生活安定に欠かせないと考えているのだろうか。

 庶民増税の重みをわかってほしい。編集委員どの。