集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

新階級「アンダークラス」と孫の顔

 先に『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の衝撃をまとめたが、「日刊ゲンダイ」3月16日付は著者・橋本健二早大教授のインタビュー記事を掲載した。

 見出しが注目される。それは「子供がアンダークラスに転落したら、孫の顔を見られませんよ」。それと「貧しいけれど気楽な日常、なんてない」などだ。

 ”孫の顔”について触れると、もしも子供が就職できないなどでアンダークラスになってしまったら、結婚などできないでしょうから”孫の顔”を見ることはできないだろう~そういったところでしょうか。それが進行している「階級社会」の現実というわけだ。

 もう一つアンダークラスが固定化すると社会はどうなるか」ということ。教授によると、現在のアンダークラスは900万人ほど。将来は毎年20~30万人づつ増えるだろうから1100万人ほどの新階級が固定化することになるという。すると①老後は生活保護に頼ることになるのでそのコストが大きくなる②アンダークラスは子供がいても十分な教育を受けさせられないために人材が育たない③結婚することができないために人口減が続く④社会状態が悪化するという研究は世界に共通している。犯罪や争いが増える。健康状態が悪化し平均寿命が短くなるなど。

 問題解決のためには、アンダークラスの問題に関心を持つ人々が増え、格差拡大に批判的な意識が醸成され、それを受け止める政治勢力が伸びることにかかっているというわけ。

 格差社会アンダークラスを増やさない社会を目指した地道な努力が大事なんだ。