集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

アンダークラスの出現に衝撃

 週刊誌の記事に誘われて講談社の新書版『新・日本の階級社会』(橋本健二著、本体価格900円)を買って懸命に読んでいます。興味深いテーマではあるが、データの多さや幅広い視点があり脳梗塞気味の老人にはなかなか難しい。

 新書は、格差社会が厳しく固定化している現実を詳しく述べながら、現実はいまや「新しい階級社会」を構成しているというわけだ(読み違いならご勘弁ください)。

 著者は「階級」とわ何かを解説しながら、労働者階級の中に「アンダークラス」が堆積し激増している現実に目を向ける。現実社会の中でこのクラスの出現を「新しい階級」ととらえている。新書のポイントともいえそうだ。

 わが国の階級は、資本家階級から労働者階級へつながるのがほぼ一般的認識。その労働者階級の中で格差が固定化しいまや最下層「アンダークラス」が就業人口の14・9%、929万人を占める最大の階層になっている。この層は、パート主婦を除くパートやアルバイト、派遣社員で構成され、平均年収186万円、貧困率38・7%というすごさである。この階層は今後とも増え続けるだろうし、孫子まで階層は引き継がれるだろうことを様々なデータで立証している。だからこそ「格差」ではなく「階級」と位置づけようというわけだ。

 しかも「階層」か「階級」の論議を超えて「アンダークラス」が現実に果たしている社会貢献を見ると、飲食や外食産業、コンビニ店、ディスカウントストア、配送業、清掃、保安業などが依存している。それらの職種はさらに広がり低賃金就業者を増殖している。それは「アンダークラス」を踏み台にしながら労働者階級、または中間層、そして資本家階級が比較的安定した生活を維持しているのが現実であるというわけだ。

 すごく納得する解説である。この現実から著者は”容認できないほどの格差を縮小させ、より平等な社会へ移行”できるようにするのが本書の狙いという。

 当方にとっては、なかなか難しい内容ではあるが「格差を縮小し平等社会に近づけ」たいとの目標に向かって余生を考えたいと思う。