集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

「新・階級社会」のすごさ

 週刊誌の新聞広告を見て『日本の不都合な真実新・階級社会」』を掲載している

週刊現代』を買いました。年収5億円の人と年収186万円の人の生活模様が紹介され、その落差にはぞっとするような驚きを感じた。とはいえ、両極の人が存在することは驚くことではない。それが「資本主義経済」現在の人々の生活模様である。そのことは理解しているつもりである。

 記事は、「新・日本の階級社会」を図で説明している。ここがポイントのようである。資本家階級(経営者、役員)は254万人で農漁業を含む就業人口の割合は4・1%という。対して「労働者階級」は①正規労働者2192万人(35・1%)②パート主婦785万人(12・6%)③アンダークラス非正規労働者)929万(14・9%)。ほかに企業管理職などの「新中間階級」や自営業・農漁業の「旧中間階級」を位置付けている。

 なかでもいま増加している「アンダークラス」(非正規労働者)は、冒頭に出てくる平均年収186万円、男性未婚率66・4%、貧困率38・7%である。

 記事と図表を眺めながら、日々推移しているいまのわが国経済と庶民の生活を考えた。政府は「働き方改革」とかカッコよい言い方をしながら「パート」や「非正規雇用」または「副業可能」といった雇用形態を増やしていくだろう。つまり先の図に示されている「アンダークラス」(平均年収186万円)をどんどん増やすことを推進するわけだ。正規労働者や自営業者が減少するだろうから、いわゆるピラミット型の三角形の階層図を描けなくなってしまうかもしれない。

 記事は、資本家階級を「経営者・役員」としているが、これは大雑把過ぎると思う。記事の中で見るように「投資成金者」は確かに資本家であろうが、それを「階級」にくくってしまうのはどうだろうか。やはり「階級」というよりは「資産家」とした方がよいと思った。

 ただ、いまの資本主義経済の制度の中で、”カネがカネを生む”ことは間違いない。株式投資できる余裕のある人は株で資産を増やすこともできるだろう。その一方で、年収186万円の「アンダークラス」は、投資のゆとりがないわけだから、孫子の代まで貧困を強いられることは確かである。

 図で見るように「労働者階級」底辺層が急速に増え続けると、残念ながら軽犯罪が増えるだろうしある意味で社会不安が増すだろう。少子高齢社会の進展とともに社会不安状態が高まることを考えると、社会福祉の国家経費のあり方がより複雑になるだろう。

 『週刊現代』の記事に、現象だけでなく深層と未来図を期待したいものである。