「消費税の使い方を変える」に騙されない
夕方テレビの電源を入れると安倍首相の解散表明演説であった。
総選挙で信任を得る理由について、「これまで約束してきた消費税の使い方を変更する」ことであると説明した。これからの使い方は「給付型奨学金の増額や園児など子育て費用の無償化」だと説明した。今後は少子高齢化が進んでゆくために人材育成に投資し社会福祉を向上させるといった内容だった。
待てよ。消費税8%を10%に引き上げることを前提に考えているのだ。パート生活の老人は「消費税の引き上げ自体に反対」なのだ。保育園待機児をゼロにすることや高校・大学の経費負担を最小限にし、給付型奨学金制度を手厚くすること、高齢者対策を充実させることなどは消費税を持ち出さなくとも実現できることである。
ところがアベは、無駄を除くという意味で「社会保障費の伸びを抑えることは小泉時代から継続していることであり、今後も変わらない」と言ってのけた。あらゆる近い方を洗いなおして「無駄」を除いてゆくというのではない。伸び続けるだろう「社会保障」分野の伸びを抑えるのが無駄対策とは呆れてしまう。
今度の「解散、総選挙」の理由である「消費税の使い方の変更」は、自民党の党利党略である。本当に教育や社会保障全般に向けようとするなら「消費税率の引き上げ時期」について問えばよいのだ。そうでなく「今の時期に解散」したいのは、自民党の支持率の低迷と大きく言えば政界再編がらみの他党の動きがぐらぐらしているからである。この時期だからこそ「一か八か」の賭けに出たということだ。
こんなアベの策略に騙されてはいけない。アベの言う「与党過半数」を許してはならない。そのチャンスが「いまでしょう」。