集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

ききょうは”盆花”といった

 近所の庭に真っ盛りのキキョウを見つけた。その品種などはわからないが”桔梗”であることは間違いない。草花の中でも好きな花の一つである。  

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 当方が育った山奥では、「ききょう」は自然に生育する野草の花であった。だから特別珍しいことはないが印象強い花である。刻みたばこに「ききょう」という名前があったことも印象を強くしているのかもしれない。

 この「ききょう」を子供のころは”ぼんばな”と呼んでいた。それは旧暦のお盆のころ咲くからであったろう。旧暦のお盆と言えば新暦では8月後半から9月初めに当たるだろう。当時はお盆と言えば旧暦に従った年中行事であった。家族で先祖の墓に行く道中で草むらのききょうを探して何本かを墓に持って行った。何本かは赤アリの巣の上にかざしていたずらをするとアリの廃液でブルーの花がピンクに変わってしまう。そんな変化を楽しんだものである。

 旧暦のお盆は、子供にとって実に楽しみの一つであった。

 近所の「ききょう」を観ながら子供のころを思い出した。