集団就職世代の想い出といま

北東北の奥深い山の集落から15歳の誕生日を迎えたばかりの少年が大都会の町工場に就職した。それから60年ほどが過ぎたいま、さまざまな想い出とこれからを綴る。

”女わざと自然とのかかわり”展との遭遇

 2月12日のこと用事があって世田谷区の東京農大に出かけた。少し時間があったので馬事公苑前の「食と農」の博物館に立ち寄った。なんと企画展「女わざと自然のかかわりー農を支えた東北の布たちー」を見学できた。偶然の大収穫である。

 この博物館は何回か見学したことがある。歴史ある農業大学というだけあって、農村民家に伝わる古道具類が展示されているのを懐かしく眺めたことがある。それらの中に伝統的な布地や衣服なども含まれるようだ。これらの所蔵品と東北に息づく「女わざ」を組み合わせて企画展としたのが、同展のようである。

 主役は「東北地方に伝承される暮らしの技を体験しながら収集する」目的で1981年に発足した「女わざの会」(代表森田珪子・修紅短期大学名誉教授)が収集した伝承的な布地や衣服などである。それと農大の古民家と道具類が合わせて見学できるという内容だ。

 展示品は、東北に伝承的な布地が主役のようだが、マヤテ(野良着)、おくるみ、蘇民祭に登場する蘇民袋、毛越寺延年舞装束・田楽舞、紫根染めの羽織、ホームスパンの婦人用スーツ、絹の手紬ぎ糸など興味深く懐かしいものが多い。

 企画展のパンフレットも充実している。その中に「岩泉地方の自然と紫根染」(中屋洋子・元岩手大学非常勤講師)を収めているが、紫根染めの生い立ちや製法が詳しく解説されている。

 同展は、3月13日(日)まで。月曜日休館。開館時間は10・00~16・30。入場無料。

 詳しくは   http://www.nodai.ac.jp/syokutonou